小菅祐介税理士事務所 > 記事コンテンツ > 会社が月次決算を行うメリットとは?作業内容などについて解説
月次決算とは、会社が毎月、自社の収益や費用、資産状況などを計算し、経営成績を把握するために行う一連の会計処理のことです。
通常の年次決算が1年間の事業活動をまとめて報告するのに対し、月次決算は1ヶ月単位で区切って行います。
今回は、月次決算を行うメリットや一般的な作業内容等について解説いたします。
会社が月次決算を行うメリットとして、次のようなものが考えられます。
それぞれ確認していきましょう。
年次決算は、1年分の取引を一度に集計し、複雑な税務処理を行うため、非常に大きな負担となります。
しかし月次決算を毎月行うことで、日々の取引の記帳や残高の確認、仮勘定の整理などを済ませておくことができます。
月々整理しておくことで、年次決算の時期に業務が集中することを避け、作業の負担を大幅に軽減できます。
月次決算を行うメリットとして、会社の収益状況や経費の発生状況を毎月把握できる点があげられます。
会社の財務状況をタイムリーに把握できるため、事業計画との差異を早期に発見し、問題点を認識できます。
たとえば、特定の部門の売上が計画を下回っている場合や、予想外の経費が発生している場合など、問題が大きくなる前に事業戦略の修正や、コスト削減策を講じることが可能となります。
会社が月次決算を行うメリットとして、融資を受けやすくなる可能性がある点です。
金融機関が融資審査を行う際、会社の財務状況の健全性を重視します。
月次決算を正確に行い、月次試算表などを金融機関に提出することで会社の財務状況を開示できます。
財務状況を開示することにより、金融機関からの信用度が向上し融資審査に有利に働く可能性があります。
特に、創業期や事業拡大期など、積極的に融資を受けたい時期には、月次試算表が会社の安定性と将来性を証明する重要な資料となります。
月次決算の作業内容は、会社の規模や業種によって異なりますが、以下の作業を行います。
まず、現金出納帳や預金通帳などと、会計ソフトに記録された残高が一致しているかを確認します。
残高が一致しない場合は、記帳漏れや、誤った金額の入力がないかを調査し、修正します。
現金や預金は、会社の財務状況を把握する上で最も重要な項目のひとつです。
棚卸とは、商品や製品、原材料など、在庫として残っている資産の数量と金額を確定させる作業です。
月末に棚卸を行うことで、売上原価を正確に計算できます。
棚卸は、実際の在庫を数える実地棚卸と、帳簿上の在庫を計算する帳簿棚卸を組み合わせて行います。
月次決算では、一時的に仮払金や仮受金といった仮勘定で処理されている項目がないかを確認します。
仮勘定は、最終的な勘定科目が未定である場合に利用されるため、月次決算の際には、その内容を調査し、適切な勘定科目に振り替える必要があります。
仮勘定をそのまま放置すると、会社の財務状況が不正確になってしまうので注意が必要です。
月次決算では、まだ支払いは済んでいないが、その月に発生した費用などを計上する必要があります。
たとえばまだ支払期日が来ていないが、その月の家賃や保険料など期間の経過に応じて発生する費用がこれにあたります。
経過勘定を正確に計上することで、その月の正確な収益と費用を把握し、正しい期間損益を算出することが可能です。
主な経過勘定には、前払費用、前受収益、未払費用、未収収益などがあります。
月次決算では機械や不動産などの固定資産の購入費用を、耐用年数に応じて費用として配分する減価償却費を計上します。
また、将来発生する可能性が高い費用を、事前に費用として計上する引当金なども計上します。
これらの計上は、年次決算だけでなく、月次決算でも行うことで、より正確な期間損益を把握することが可能となります。
すべての月次決算作業が完了したら、最終的に月次試算表を作成します。
月次試算表は、すべての勘定科目の残高を集計したものであり、会社の財務状況と経営成績を一覧で把握できる書類です。
月次試算表には、月次損益計算書(PL)や月次貸借対照表(BS)があり、詳細な財務分析が可能となります。
これらの書類は、経営会議や金融機関への報告など、様々な場面で活用されます。
今回は、月次決算のメリットや実際の作業内容について紹介していきました。
月次決算を行うと、決算申告の手間が減るだけではなく、経営戦略や融資を受けるときの資料として活用することができるため、取り入れるべきといえるでしょう。
ご紹介した月次決算をすべて完璧にこなすことは、中小企業にとって大きな負担となる場合も多いかと思います。
各社の規模や体制に見合った月次決算を構築しようとすると、「どの程度まで月次決算を行うべきか」が分からず、悩まれることも少なくありません。
そのような場合には、ぜひ税理士にご相談ください。